2012年 03月 28日
PHOTO REPORT ~ ららみゅうのめひかり ~ いわき・福島 |
2011-12-26_9:37
「お兄さん、今日最初のお客さんだから、安くするよ!」
威勢の良い、というよりも元気で人懐っこい感じの声。
魚の干物を並べ直していた黄色いジャンパーを着た小柄なおじさんだ。
何軒もの魚店が並ぶ広い売り場を一通り見て回り、何かお土産に干物でも買おうかと思っていたのだがどの店も似たり寄ったりの品ぞろえで、しかもカニやらホタテやら少々値段の張るものばかりだったのでどうしようか迷っていたところだった。
「ここで獲れた赤ガレイ。これ他にないよ」
とおじさんが言った。
「地元で獲れたの?この辺は漁が再開したの?」
「違う違う。このあたりではまだ漁ができないよ。これはウチの店で取ってあったもの。震災前に。この赤ガレ
イは子持ちで美味しそうだろ?」
そう言って並んで吊るされているカレイを見せてくれる。
「まだ漁はできないんですよね、やっぱり。おじさん、この辺はどのくらい津波が来たんですか?」と聞いた。
「一階はみんなだめになったんだ。ほら、あそこに付いている印のところまで水が来た」
そう言いながら、少し離れた場所にある柱を指差した。2メートル程の高さの所にさりげなく緑のマスキングテープが貼られていた。
柱に貼られた黄色い生ガキの看板の右上の方に緑の印が
「お客さんは来ますか?」
「少ないね。ここも先月開いたばっかりだから。復興だと思ってさ、干物買ってよね。安くするから」
この赤ガレイだったらこれだけ割り引くしサービスで海苔の佃煮も付けるよとおじさんが言う。赤ガレイが本
当にお勧めのようだ。僕はめひかりが気になった。いわきの名物だと聞いたことがあったからだ。
「このめひかりもここで獲れたやつ?」
「ああ、これ、これもそうだ。赤ガレイとめひかりにするか?」
お目当てはめひかりだけだったのだが、おじさんがあまりに勧めるしふっくらしていて美味しそうだったので赤ガレイも買うことにした。
「ありがとうね」
そう言っておじさんは新たに駐車場から歩いてきた中年女性3人組に声を掛け始めた。
「いらっしゃい。赤ガレイ、安くするよ!」
めひかりはシシャモのような形で刺身でも揚げても干物にしても脂が乗っていて美味しい魚です。
本来の名前は「アオメエソ」だが青緑色に光る大きな目をしているところから「めひかり」と呼ばれています。いわき市の魚にも指定されているくらい、いわきでは有名なのです。
いわき市小名浜の港の隣にある「いわき ら・ら・ミュウ」は飲食店や子供が遊ぶスペース、お土産店などが
集まったいわき市の観光物産センタで、一階の駐車場側は何軒もの魚屋が並ぶ「おさかなゾーン」になっていま
す。おじさんが教えてくれたように一階部分が津波で破壊されたため長らく営業停止でした。2011年11月25日にリニューアルオープン。新たに設けられた東北最大級の子供向け室内型遊び場は放射線対策を意識したものでしょう。
小名浜港の倉庫や付近のアスファルト道路の一部は未だ破壊されたままの状態ですが、観光の中心となる
「ら・ら・ミュウ」が復活したことで小名浜にも観光客が戻ってくると思います。小名浜の海はきれいですしね。
小名浜には他に「アクアマリンふくしま」という水族館があります。こちらは一足早く2011年7月15日に再
オープンしています。
目玉は2,025トンの巨大水槽「潮目の海」です。福島沖で黒潮と親潮が交わる潮目があり良質の漁場となっていて、その潮目を再現しています。
「アクアマリンふくしま」には行っていないのですが、「アクアマリンふくしまのサカナたち」というiphoneのアプリでお魚を見ています。震災前に撮影された水族館内の写真で、非常に美しいものばかりです。興味のある方(でiphoneやipod、ipadをお持ちの方)はチェックしてみてください。無料のアプリです。
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「いわき ら・ら・ミュウ」 ホームページ
(おじさんの店は「まるふと直売店」)
「アクアマリンふくしま」 ホームページ
「アクアマリンふくしまのサカナたち」 アップル iTunes サイト
/* ----- いわき市 - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */
by kidai_y
| 2012-03-28 22:11
| 写真・東日本大震災