アジアのカケラ

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塩屋崎灯台、ニューヨークへ

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ポスター


 福島県いわき市にある、塩屋崎灯台。

 2011年に撮影した写真が、19日に行われる ” 第2回日米合唱祭 at Carnegie 「福島から世界へ」チャリティーコンサート」 " のポスターに使用されました。

 主催者がいわきのご出身で、今回のチャリティーコンサートに福島県おかあさん合唱連盟の方々を招待することになり、宣伝ポスター用としてイメージに合った写真を探す中で、僕の写真を見つけてくださったのです。

 ニューヨークのカーネギーホールで行われるイベントに、微力ながらも協力できて、嬉しいことです。
 
 コンサートの様子は、22日放送の NEWS ZERO 等で紹介されるとのことなので、お時間ある方はご覧ください。僕も楽しみです。



 頂いたプレスリリースを転載します。--------------------------------------


  "Never Give Up !"~福島の声を世界へ~
        カーネギー日米合唱祭に福島県おかあさん合唱連盟が出演

 2013年9月5日― 来る10月19日にニューヨークのカーネギーホールで開かれる第二回日米合唱祭に日本側を代表して福島県おかあさん合唱連盟の有志約140人が参加する。その中には福島原子力発電所の惨事で故郷を追われ、今なお仮設住宅での生活を強いられている飯館村や南相馬市のお母さん方も含まれている。震災直後の第一回日米合唱祭には仙台の合唱団「萩」が参加し、震災と闘う元気な歌声を披露し、カーネギーホールを満員にしたニューヨーカーたちの熱烈なコールを受けたが、今回は福島のお母さんたちが原発事故で想像を絶する困難と今なお立ち向かいながらも"決してあきらめない"福島の不屈の精神を歌声に込めてニューヨーカーに披露する。後援はニューヨーク日本商工会議所・日本クラブ。

 この企画の橋渡しをしたのは俳人の黛まどかさん。昨年3月にニューヨークで「日本の心シンポジウム・コンサート」が開かれたが、この時にこの日米合唱祭を主宰するNPO「9.11風の環コンサート」の代表である白田正樹さんが音楽監督を務める合唱団「とも」が、黛さん作詞、千住明さん作曲の「そして春 ~福島から世界へ~」を初演した。「そして春」は黛さんが震災直後に訪問した福島の様々な土地の四季折々の美しい風景を織り込んだもので、今回のカーネギーでも福島県おかあさん合唱連盟によって演奏される。

 アメリカ側を代表して参加するのはユニークな女性バーバーショップ合唱団の「Harmony Celebration Chorus」の50人。バーバーショップならではの歌と踊りの楽しいステージを披露する。白田さんが率いる合唱団「とも」や日本人学校「育英学園」の小学校の生徒たちも参加する。さらにグレゴリー・シンガー氏率いるオーケストラ;マンハッタン・シンポニーも参加。3.11犠牲者の為に作曲されたオリジナルのレクイエム「Memorial Processional」をおよびシベリウスの「フィンランディア」演奏する。

 この企画を橋渡しした黛まどかさんも応援に駆け付け、「そして春」作詞の経緯や福島の被災者の詠んだ俳句を紹介しながら"日本人の心"を解説する予定だ。
 司会は第一回合唱祭に引き続きFCIアンカーの久下香織子さんが務める。

  公演日時 : 2013年10月19日(土)、19時―21時
  公演会場 : ニューヨーク、カーネギー大ホール(Isaac Stern Hall)
  チケット : 10ドル

  Website情報: www.japanuschorus2013.org
          www.carnegiehall.org
          www.jch-tomo.org
          http://kazenowa911.blog6.fc2.com

  チケット購入: 212-247-7800 (Carnegie Hall)、あるいは
          ラマンツ綾;917-902-2212 japan.choral.harmony@gmail.com
  問い合わせ : 白田正樹;201-264-5825 mike.s@mushroomwisdom.com

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 ちなみに、塩屋崎灯台のブログ記事はこちら




/* ----- いわき - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */



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by kidai_y | 2013-10-17 11:17 | 写真・東日本大震災

PHOTO REPORT ~ びっきカフェ ~ 土湯・福島

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2012-5-5_16:02



 福島市から国道115号線を猪苗代の方へ走り、土湯温泉を過ぎてすぐ、道路脇に小さな看板を目印に国道をそれて山の方へ入り、未舗装道路を看板を頼りに進むと、右手の少し高くなった広場の奥に
古い木造の大きな民家が建っている場所に辿りつきます。
 びっき山の「空cafe」というお店で、築80年くらいの古民家を改修したのだそうです。
 広場の周りには桜が植えられ、建物が小さな学校のような雰囲気ということもあり、どことなく懐かしい気持ちになる場所です。

 びっきとはカエルのことです。
 道路を挟んだ向かい側にある「びっき沼」にはモリアオガエルが生息し、繁殖の時期になると周りの枝葉に泡のような卵を見ることができるそうです。
 この沼は水芭蕉の生息地でもあります。水芭蕉は高原の奥にひっそりと咲くような花だと思っていましたが、意外と町の近くでも見られるんですね。

 まだ少し肌寒かったのですが、びっき沼からはカエルの合唱が聞こえましたよ。気のせいかな?


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コーヒー 450円


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ワッフル 650円


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びっき沼





「空cafe」
場所 : 福島市土湯温泉町茂田1
電話 : 024-595-2515
時間 : 11:00~16:00
期間 : 4月上旬~10月末
定休 : 不定休 ホームページなどで要確認

ホームページはこちら


/* ----- 福島市土湯 - 福島 - 2012 - Nikon D700 ----- */



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by kidai_y | 2012-05-17 20:25 | 写真:日本

PHOTO REPORT ~ 観光する時間 ~ 土湯・福島

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2012-5-5_16:44



 福島市の花見山公園
 三春町の三春滝桜。
 会津若松市の鶴ヶ城公園。

 昨年4月の末に花見山公園を訪れた時は、駅からの路線バスは混んでいたし、花見山周辺の道路も渋滞してはいましたが、その割には人が少ないなあと感じました。今年は行けなかったので状況は分かりませんが観光客は増えたのでしょうか?
 例えば、今年(2012年)のシーズン中(4月6日~5月6日)三春の滝桜を見に訪れた観光客は21万2,619人で、昨年に比べ6万3,374人も増加したそうです。しかし例年だと約30万人とのことなので、
まだまだ客足は戻ってはいないようです。

 各地で除染作業が進められていますが、実際のところどの程度効果があるのか、そもそもその数字は安心できるものなのか。
 周りにいる人たちの不安は尽きないと思いますし、大事を取って近寄らないというのも大切なことです。でもそんな場所で暮らしている人が大勢いるというのも紛れもない事実です。

 お花見や郷土料理の食べ歩き、温泉巡り、街巡り。
 観光をするのにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。

 



 観光ホームページ
 「うつくしま観光プロモーション推進機構
 「福島市観光物産協会
 「土湯温泉観光協会

 今年も無料開放しているそうです
 「磐梯吾妻スカイライン
 「磐梯吾妻レークライン
 「磐梯山ゴールドライン

 参考として
 「福島県放射能測定マップ


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 今回の写真の桜は、土湯温泉近くにあるびっき沼周辺です。

/* ----- 福島市土湯 - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */



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by kidai_y | 2012-05-16 21:05 | 写真:日本

PHOTO REPORT ~ 自分だけの風景 ~ 四ッ倉海岸・いわき

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2011-12-26_12:37



 誰もが「素晴らしい!」と感動する風景があります。
 そんな感動を呼ぶような「美しい」風景の本質というか構成要素はある程度共通している普遍的なものなので、年齢性別人種を問わず大多数の人が「素晴らしい!」という気持ちを抱きます。

 それに対して「目を奪われてしまう風景」というのは、もう少し個人的な趣味嗜好が影響する気がします。
 他の人にとっては然程魅力的ではなくても、自分にとってはとても印象的で何故だか見入ってしまうような風景。
 多分、その人の記憶とか願望とか好みとか、色々な個人的要素がフィルタになるのだと思います。

 今回の四ッ倉海岸は僕にとっての「目を奪われてしまった風景」の1つです。
 広い広い砂浜と青く澄んだ空と白い千切れ雲。
 それら1つ1つの要素だけを取り上げると、多分それほど珍しくはない砂浜の風景だと思います。
 しかしどうしたわけかここに立った時に「ウユニ湖」のイメージが湧いてきてしまい、いわきの砂浜と青空にとても惹きつけられてしまったのです。
 ご存知の方なら似ても似つかない風景だと思うでしょうけれど、淡い色合いと、いつか行ってみたいという願望のフィルタがそう見せたのだと思います。

 そういう風に感じることはありますか?



 「ウユニ湖」は南米ボリビアの高原にある塩湖です。写真や旅行番組などでご覧になった方も多いと思います。
 僕はこの動画が印象的でした。
 Where the Hell is Matt?(2006)

 最新の「Dancing」はこちら。
 Where the Hell is Matt?(2008)

 ウユニ湖についての情報はボリビア大使館HPだぜ


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/* ----- いわき市 - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */
Sweet lullaby (original) / Deep Forest





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by kidai_y | 2012-04-05 20:56 | 写真・東日本大震災

PHOTO REPORT ~ 旅行でもいいです ~ 四ッ倉・いわき

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2011-12-26_12:24



 岩手県にある温泉場。
 細かな雪が吹きこむ露天風呂で静岡から来たという男性と話をした。還暦ちょうどで仕事をリタイアした後、一人気儘にあちこち出かけているそうだ。
 今回は岩手県内のスキー場巡りの旅だった。2日前に静岡の自宅を出発し、前日は雫石の網張温泉、今日が八幡平、明日は安比、八戸まで北上した後は沿岸を通りながら南下し、石巻北上にある追分温泉まで行くのだと言った。
 スキーお上手なんですかと訊ねたら、いやあ自己流ですよと言って笑ったが、まんざらでもなさそうな顔だった。

 「ここまで来る途中、東北道を逸れて福島の南相馬市に行ってそこから沿岸を通って多賀城まで走ってきたんです」
「ああ、そうなんですか」
「田んぼに船がそのままになっていたり、壊れた家もまだあったりで・・・」
 今回の東北旅行はスキーと温泉が目的なのだが、被災地を見るというのも旅行計画に入れていたという。八戸からわざわざ沿岸を下るというのもそういう理由からだ。
 
 露天風呂に通じる内湯のドアには温度計があって、いまいる露天風呂の外気温は2度だった。雪もどんどん降ってくる。頭上の木の枝から、サラサラと積もった雪が落ちてきて、湯面で音もなく消えていった。
 男性も僕も上半身はお湯から出しているのにどんどんと汗が噴き出てくる。

「何をするというわけでもないけどね、見ておきたいなと思ったんすよ」
 頭の上の手拭を乗せ直しながら男性が言った。
「旅行で温泉に入ってご飯を食べて、そうやってお金を使うのもありだと思うんです。スキーはあまり関係ないかもしれないけどね」

「次は静岡の方で大きい地震が起きるって言われてますよね。津波が心配ではないですか?」と聞いた。
「ずっと言われてますよ。私の家は海の近くだけれど高い場所にあるから割と安心ですが、怖いですよね。静岡にも原発がありますし」
「原発ですか。僕は地元が福井なんですけど、たくさんありますから他人ごとじゃないです」
 それを聞いて男性は福井ですか、と言って改めて僕を見た。
「実はね、私は福井大地震の日に生まれたんですよ」
「ええ?」
「ははは。福井地震の時は静岡も揺れたんですけどね、それで驚いて家の外に飛び出した私の母親がその場で産気づいて、そして私が生まれたそうです」
 なんだか同郷の人に会ったような気分になってしまった。

 被災した方による被災地ガイドツアーというのもあるようです。
 いわきの海岸にはきれいな場所がたくさんあります。
 旅行のついでに被災地を見て、温泉に入って美味しいもの食べて、お金を使う。もっとたくさんの人が来るようになればいいのにと思います。


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いわき市四ッ倉港


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いわき市四ッ倉港


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道の駅「よつくら港」 2012年4月1日から仮店舗で営業再開しました。


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いわき市久ノ浜付近。オットセイのように見えるのはテトラポッド


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いわき市久ノ浜付近




/* ----- いわき市 - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */



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by kidai_y | 2012-04-04 21:05 | 写真・東日本大震災

PHOTO REPORT ~ のらとぺっと ~ 塩屋崎・いわき

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2011-12-26_11:42



 日当たりの良い車のボンネットや塀の上でのほほんと昼寝をしていたり、スズメやトカゲなどの獲物を見つけて身体を緊張させていたかと思うと突然ぴょーんと飛びかかっている猫。
 そういう野良猫たちの、図太くて逞しい姿を、野良として生きていくのはいろいろと苦労もあるだろうけれど、それなりにどこででも器用にやっていくんだろうなあと思いながら見ていました。

 僕は猫や犬などを飼ったことが今までないので分からないのですが、たとえ人に飼われていたペット猫でもそれなりの基本的な身体能力はあるし、野生の本能というのはなくならないだろうからたとえ野良になってもうまく外の世界に適応するのではないかと思っています。
 でもずっと人に飼われているとなかなか外の世界で生きていくのは大変なんですね。餌も自分で見つけないといけないし、構ってくれたり甘えたりする人も近くにいなくなってしまうから寂しいだろうし。


 避難所などでペットを飼うというのは相当大変なことです。「ペットは家族の一員」だったとしても、他の人にとってみればただの猫や犬であるわけですし、臭いや鳴き声なども他人にとっては大きなストレスの原因になってしまいます。
 それに、すぐに避難しないといけないとなると自分や家族のことで精一杯でペットにまで手が回らなかったりもします。

 
 塩矢崎灯台の下にいたこの写真の猫は多分野良で、毛並みもそこそこきれいなので要領よく生きてきたんでしょう。
 しかしそれは野良だったから津波で住民がいなくなってしまった集落でも生き延びてこられたのであって、ペット出身だったとしたらだめだったかもしれません。
 住民がいなくなってしまった町で、餌が少なくなった動物同士の共食いが発生しているといいます。弱肉強食の世界では仕方のないことですが、ペットだった動物が負けてしまうことが多いでしょうね。

 被災地のペットを救出するボランティアがあります。
福島原発20キロ圏内 犬・猫救出プロジェクト
 ペットを飼ったことがない自分としては考えが及ばない支援です。でも多分必要なことなんですよね。


 優しい飼い主のもとで幸せなペットライフを送る方がいいのか、日々サバイバルでも気ままな野良暮らしをする方がいいのか。
 僕は野良かなあ。
 我々の防災訓練と同じで、飼い主にかわいがってもらいつつ、もしもに備えて爪を研ぎ野生の感覚を忘れない、そういうのがいいのかもしれませんね。


/* ----- いわき市 - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */



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by kidai_y | 2012-04-03 21:46 | 写真・東日本大震災

PHOTO REPORT ~ 導く灯り ~ 塩屋崎灯台・いわき

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2011-12-26_11:15



 福島県は北海道、岩手県に次ぐ日本で3番目に面積の大きな県です。
 そのため同じ県内でも気象条件や県民性が場所によって異なり、西側の会津、中央の中通り、東側の浜通りの3地域に分けられます。
 太平洋に面したいわき市は浜通り地域に属し、気温も会津地方などに比べれば高めで冬の積雪もそれほどありません。小名浜は「東北の湘南」とも言われているそうです(雰囲気ではなく気候のことですね)。

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 塩屋崎灯台はいわきの海に付き出した岬に建つ、真っ白な美しい灯台です。
 2011年3月11日の震災で被災し灯台へ続く階段や岬の崖が崩れて、現在は立ち入り禁止となっています。灯台の明かりも暫く消灯されていましたが、2011年11月20日に再点灯しました。

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 付近の集落も津波の被害によりほぼ更地となっています。
 そんな中で、県道沿いにオープンしたばかりのコンビニの花輪が青空の下で鮮やかに輝いていたのが印象的でした(訪れたのは2011年12月26日)
 
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 日が暮れて、燃え尽きようとしている夕焼けが広がる四ッ倉海岸。
 広い砂浜のその向こうに小さく、定期的に光る灯りがありました。
 13キロほど離れた場所では、大きな灯台の光でも、遠くに小さく、小さく見えるだけです。
 でも、どんな小さな光であっても、それはなくてはならない、行き先を知らせてくれる導きの光りなのです。
 塩屋崎の灯台の明かりは、今も、これからも静かに光り続けます。

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/* ----- いわき市 - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */



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by kidai_y | 2012-04-02 20:39 | 写真・東日本大震災

PHOTO REPORT ~ 今でも楽しみ ~ 永崎海岸・いわき

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2011-12-26_10:19



 駐車場から砂浜へ降りる階段状の場所で何かを拾っているおじいさんがいた。
 良く見ると、昔の缶飲料に付いていた切り離されるタイプのプルリングだった。今ではそのタイプの缶飲料などほとんど見かけないというのに、隙間からひょいひょいと拾っていた。
「この近くに住んでいるんですか?」と声を掛けた。
 おじさんは最初誰に話しかけているのだろうというように僕を暫く見た後、「そうですよ」と言った。
「でも私の家はここから、ほら、向こうに見える高くなっている山(丘?)の方にあるので津波の被害は全くなかったんだ。でもこの辺りは道路が堤防のように少し高くなってはいるけど、道路を挟んだ町内は海と同じ高さか場所によっては低い所もあるから、どんどん波が入ってくるんだ、ここは」
 すぐ向こうに見える住宅地を指さしながら言った。

「この海岸もね、きれいだろ?でもね、大潮になるとその階段のところまで波がきてしまうようになったんだ。人が集まる海水浴場なんだけど・・・」
「ああ、それは・・・」
「あれもね、沖に積んであるテトラポッドあるだろ?あれも津波でみんな砂浜に流されてきたんだ。見えるだろ?波打ち際に点々と黒いのが」
 あれはてっきり自然の岩なのだと思っていたので驚いた。津波の威力はテトラポッドを移動させてしまうほどのものだったのだ。
「私は釣りが好きで。津波の時もこの先の港(中ノ作港)で釣りをしてたんだけども、まああれだけ揺れたらから、すぐに逃げようと車に乗ったんだが、慌ててしまってね、ブロックにぶつけてしまったんだよ」
とおじいさんは笑った。近くに止めてあるワゴン車のバンパーの端がへこんでいた。
「今も釣りをするんですか?」と聞くと、
「今でも楽しみだからね」
そう言っておじいさんはまた笑った。


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点々と置いてある黒いものが流されたテトラポッド



/* ----- いわき市 - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */


(前回の記事の補足・・・)
 放射線は目に見えない・・・ということについてのネタでしたが、放射線を可視化する実用的な装置が開発されたそうです。
「超広角コンプトンカメラ」による放射性物質の可視化に向けた実証試験について



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by kidai_y | 2012-03-30 22:29 | 写真・東日本大震災

PHOTO REPORT ~ 気になる・・・ ~ 永崎海岸・いわき

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2011-12-26_10:40



 広い広い海岸。
 とてもよく晴れた気持ちの良い空で海から吹いてくる風がとても冷たい。
 流れ出している小川に沿って湿った砂浜が白く凍りついている。
 遠浅の波打ち際は鏡のように、午前中の太陽や切れ切れになった雲や透き通った青い空を映し出していた。

 海岸の駐車場から2人の人影が砂浜に降りてくるのが遠くに見えた。
 まだ覚束ない足取りの小さな子供と、その子の手を引いてちょっと身を屈めながら隣を歩くお母さんだ。子供が時々手を放してトコトコと先に進んでいってしまうと何だがハラハラしてしまう。万が一転んだとしても砂浜なので怪我はしないのだろうけれど。

 湿った砂の上に足跡が続いている。
 たまに大きな波が来てその足跡を少しづつ消していく。


 この日(2011年12月26日)のいわき市小名浜で計測された1時間当たりの放射線量は地上1mで0.12μSv(マイクロシーベルト)。一般に日常生活で自然に被ばくする放射線量は世界平均で年間約2.4mSv(ミリシーベルト)(2.4mSv=2400μSv)。胸のレントゲン撮影では1回約0.05mSvの放射線を浴びると言われています。
 例えば1時間当たり0.12μSvの放射線量の場所で1日10時間屋外にいたと仮定すると1日で1.2μSvの被ばくということになります。
 1年では438μSv。
 年間平均量に足して2838μSv(2.838mSv)。
 この数字をどう判断したら良いのでしょうか。ちなみに胃のX線撮影1回分は4000μSv(4mSv)、日本国原子力安全委員会指針で一般人の「屋内退避」レベルは”年間で”100000μSv(10mSv)です。

 目に見えるものではないし、花粉症のように身体が反応するというものでもないので個人的には気になりません。先日飯舘村へ行った時もマスクをするのを忘れてまうほど無頓着なのです。
 でも知っている人が普段いる場所よりも数値が高い所へ行くとなると、とても気になります。
 心配ではなく、「気になる」のです。
 そういう漠然とした気持ちほど周りに影響されやすいんですよね。
 悪い方へ傾かないように気を付けたいものです。


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 2012年3月30日追記・・・・・

「超広角コンプトンカメラ」による放射性物質の可視化に向けた実証試験について

 目に見えない放射線を可視化するカメラが開発されたというニュース。
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した、ガンマ線を放出する放射性物質を可視化す装置です。今までにも放射線を可視化するカメラはあったそうですが、今回のものは視野角が180度と格段に広くなり、利便性が増しました。セシウム137やセシウム134も可視化できるそうです。
 今後の調査研究や除染作業、そして我々の「気になる」不安をすっきりさせるために活用してほしいですね。


/* ----- いわき市 - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */



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by kidai_y | 2012-03-29 20:49 | 写真・東日本大震災

PHOTO REPORT ~ ららみゅうのめひかり ~ いわき・福島

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2011-12-26_9:37



「お兄さん、今日最初のお客さんだから、安くするよ!」

 威勢の良い、というよりも元気で人懐っこい感じの声。
 魚の干物を並べ直していた黄色いジャンパーを着た小柄なおじさんだ。
 何軒もの魚店が並ぶ広い売り場を一通り見て回り、何かお土産に干物でも買おうかと思っていたのだがどの店も似たり寄ったりの品ぞろえで、しかもカニやらホタテやら少々値段の張るものばかりだったのでどうしようか迷っていたところだった。
「ここで獲れた赤ガレイ。これ他にないよ」
とおじさんが言った。
「地元で獲れたの?この辺は漁が再開したの?」
「違う違う。このあたりではまだ漁ができないよ。これはウチの店で取ってあったもの。震災前に。この赤ガレ
イは子持ちで美味しそうだろ?」
 そう言って並んで吊るされているカレイを見せてくれる。
「まだ漁はできないんですよね、やっぱり。おじさん、この辺はどのくらい津波が来たんですか?」と聞いた。
「一階はみんなだめになったんだ。ほら、あそこに付いている印のところまで水が来た」
 そう言いながら、少し離れた場所にある柱を指差した。2メートル程の高さの所にさりげなく緑のマスキングテープが貼られていた。

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柱に貼られた黄色い生ガキの看板の右上の方に緑の印が


「お客さんは来ますか?」
「少ないね。ここも先月開いたばっかりだから。復興だと思ってさ、干物買ってよね。安くするから」
 この赤ガレイだったらこれだけ割り引くしサービスで海苔の佃煮も付けるよとおじさんが言う。赤ガレイが本
当にお勧めのようだ。僕はめひかりが気になった。いわきの名物だと聞いたことがあったからだ。
「このめひかりもここで獲れたやつ?」
「ああ、これ、これもそうだ。赤ガレイとめひかりにするか?」
 お目当てはめひかりだけだったのだが、おじさんがあまりに勧めるしふっくらしていて美味しそうだったので赤ガレイも買うことにした。

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「ありがとうね」
そう言っておじさんは新たに駐車場から歩いてきた中年女性3人組に声を掛け始めた。
「いらっしゃい。赤ガレイ、安くするよ!」

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 めひかりはシシャモのような形で刺身でも揚げても干物にしても脂が乗っていて美味しい魚です。
 本来の名前は「アオメエソ」だが青緑色に光る大きな目をしているところから「めひかり」と呼ばれています。いわき市の魚にも指定されているくらい、いわきでは有名なのです。
 

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 いわき市小名浜の港の隣にある「いわき ら・ら・ミュウ」は飲食店や子供が遊ぶスペース、お土産店などが
集まったいわき市の観光物産センタで、一階の駐車場側は何軒もの魚屋が並ぶ「おさかなゾーン」になっていま
す。おじさんが教えてくれたように一階部分が津波で破壊されたため長らく営業停止でした。2011年11月25日にリニューアルオープン。新たに設けられた東北最大級の子供向け室内型遊び場は放射線対策を意識したものでしょう。
 小名浜港の倉庫や付近のアスファルト道路の一部は未だ破壊されたままの状態ですが、観光の中心となる
「ら・ら・ミュウ」が復活したことで小名浜にも観光客が戻ってくると思います。小名浜の海はきれいですしね。

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 小名浜には他に「アクアマリンふくしま」という水族館があります。こちらは一足早く2011年7月15日に再
オープンしています。
 目玉は2,025トンの巨大水槽「潮目の海」です。福島沖で黒潮と親潮が交わる潮目があり良質の漁場となっていて、その潮目を再現しています。
 「アクアマリンふくしま」には行っていないのですが、「アクアマリンふくしまのサカナたち」というiphoneのアプリでお魚を見ています。震災前に撮影された水族館内の写真で、非常に美しいものばかりです。興味のある方(でiphoneやipod、ipadをお持ちの方)はチェックしてみてください。無料のアプリです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~

いわき ら・ら・ミュウ」 ホームページ
 (おじさんの店は「まるふと直売店」)

アクアマリンふくしま」 ホームページ

アクアマリンふくしまのサカナたち」 アップル iTunes サイト



/* ----- いわき市 - 福島 - 2011 - Nikon D700 ----- */



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by kidai_y | 2012-03-28 22:11 | 写真・東日本大震災