2011年 10月 14日
PHOTO REPORT ~ 銀河鉄道と夜の工場 ~ 岩沼市・宮城県 |

「僕もうあんな大きな暗やみの中だってこわくない。きっとみんなのほんとうのさいわいをさがしに行く。どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んで行こう。」
「ああきっと行くよ。ああ、あすこの野原はなんてきれいだろう。みんな集ってるねえ。あすこがほんとうの天上なんだ。あっあすこにいるのぼくのお母さんだよ。」
引用:宮沢賢治『銀河鉄道の夜』(青空文庫)

宮城県岩沼市内を流れる阿武隈川が国道6号線と交差する辺りに建っている製紙工場。
どこにでもあるごく普通の田舎の工場が、夜になると雰囲気が全く変わって見えますね。
仙台港の工業地帯には大きな火力発電所や精油工場があるのですが、未だ操業再開していないため夜は気味が悪いくらいに暗く、しんとしたままです。


月明かりに照らされた堤防の道は青白くてずっと向こうにまで続いていた。
対岸にある工場の煙突から出る薄い膜のような煙が夜の空に薄く広がり川面に映る工場のライトが流れに負けまいとゆらゆら揺れていた。気を抜けば流されてしまう。
つないだ彼女の右手がひやりと冷たかった。いつもよりも指が細く感じた。
ちゃぽん。
月の光か工場の灯りに誘われた魚が跳ねた音がすぐそばで聞こえた気がした。
僕らの足音も穏やかな川音も草むらから聞こえる虫の声も小さくてその音だけがやけに大きく響いた。
遠くに架かる陸橋を電車が通過していた。
線路の継ぎ目を踏むたびにことんことんと規則正しい足音が聞こえ長い光の粒が暗闇の中を左から右へと滑らかに移動し暗い何かの陰にすうっーっと吸い込まれていく。
最終車両の窓の明かりが消えてしまわないうちに、僕は繋いだ手に力を込めた。

/* ----- 岩沼市 - 宮城 - 2011 - Nikon D700 ----- */
今回は趣向を変えて見ました。
お話はフィクションです。
実際は寒いし暗いし工場のからの臭いがきつくて大変でした・・・。
1枚目の左下のほうに写っている光の点線と、最後の写真は東北本線です。
by kidai_y
| 2011-10-14 20:51
| 写真:日本

