2011年 11月 01日
Photo Stream ~ 邂逅の森の近く ~ 出羽月山周辺・山形県 |

2011_09_25
マタギとして山に入り、山の神様に守ってもらうためには、人間の性である欲深さを封じ込め、意識や感覚をできうる限り獣の領域まで近づけなくてはならない。(『邂逅の森』より)
北海道や東方地方の深い山の中、古くから伝わる狩猟法を用いて集団で狩りをする人たちのことをマタギといいます。東北のクマ(ツキノワグマ)を狩る個人の狩人のことを指すのだと思っていましたが、村や地域単位に存在する狩猟集団のことを言うようです。
夏は農作業などを行い、冬から春にかけて10人ほどの狩猟組を組織し山へ入ります。
全体を統率する頭領、大きな声でクマを追う役、クマを待ち受けて鉄砲などで仕留める役など各人の役割はきちんと決められています。
クマはもちろん、他の動物や木の実などの恵みを与えてくれる山の神様に敬意を払うため、さまざまな禁忌事項があるようです。山にいる間はマタギ言葉しか使わない、獲物のを仕留めた時は特別な呪文を唱えて山の神様に報告するなどの独特の文化もあります。
山の神様は器量が好くない女性なので、山に入る1週間ほど前からは夫婦でも寝室を別にして女性から遠ざかるという決まりもあります。きれいな女性と一緒にいると山の神様が焼きもちを焼いてしまうからだとか。
現在では銃の性能も良くなり、マタギで生計を立てる人も少なくなっているため、少しずつマタギ文化も変化しているようです。そもそも門外不出だったマタギの掟や風習なども、戦後の民俗学の聞き取り調査などで明らかになってしまったものです。
主なマタギ集落として、青森県西目屋村など白神山地周辺、秋田県阿仁・打当など森吉山周辺、山形県大鳥など月山近辺などがあり、新潟県や長野県にもあるようです。


2004年の第17回山本周五郎賞、第131回直木賞をダブル受賞した、熊谷達也によって書かれた『邂逅の森』。
秋田県阿仁に生まれた主人公の波乱万丈の人生を描いた作品です。マタギである主人公の成長を通して、東北の自然の厳しさや美しさ、村社会の問題などをリアルに表現していてとても面白い小説です。
特に登場人物が話す東北言葉には訳が一切付かず、文字で読むからなんとか分かるけれども耳で聞いたらさっぱり理解できないようなレベルの会話です。しかしそれがとても登場人物たちを生き生きとさせ、読者を物語に引き付ける重要な要素になっていると思います。方言好きにはたまりません。(実は以前紹介した「支援者のための気仙沼方言入門」が役に立ちました。「わがんね」という言葉が頻繁に出てくるのですが、「だめだ」という意味を知っていないと会話の意味が分からないところでした)
そして読んでから知ったのですが、以前紹介した出羽三山神社がある月山の周辺はマタギ集落がある地域で、物語の舞台もそこから結構近い場所でした。
自分が行ったり見たりしたことがある場所が小説に登場すると読むのがますます楽しくなり、物語の中に入り込んでしまいます。
旅行記なども同様で、行く前に読んでも、帰ってきてから読んでも、どちらでも楽しめますね。
というわけで今週は読書週間です(2011年10月27日~11月9日)。
肌寒くなってきた秋の眠れない夜に、読書などはどうでしょうか?
今回のお勧めは・・・
熊谷達也『邂逅の森』(文春文庫 2006)
宮沢賢治『なめとこ山の熊』(青空文庫)・・・主人公は熊撃ちの達人。おそらくマタギ。
『トランヴェール 2010年10月号「邂逅の森」を旅する』(JR東日本)
とんねるずのみなさんのおかげでした 博士と助手 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権 vol.3 「平泉の乱」(avex trax 2010)・・・マタギスターシリーズ収録。読書にはならないですが・・・。

/* ----- 出羽 - 山形県 - 2011 - Nikon D700 ----- */
♪ NOW and THEN ~失われた時を求めて~ / MY LITTLE LOVER(作詞・作曲 小林武史)
by kidai_y
| 2011-11-01 23:46
| 写真:日本

