2011年 11月 02日
Photo Stream ~ 民俗学と好奇心 ~ 福井県 |

昨日の記事で、口外無用のマタギ文化や風習が戦後の民俗学による聞き取り調査によって詳らかになってきたと話しました。
大雑把に説明すると、民俗学というのは近代化・都市化が進み様々なものの仕組みや形がはっきりしてきた社会の中、その枠組みでは捉えられない地方に根付く文化や風習を解明しようという学問です。
地方に伝わる文化・風習は代々口承で伝えられてきたり、村の外には出してはならないものであったり、知らずのうちに生活の中に沁みこんでいたりするので、明文化されたり秩序だったシステムには当てはまらないものが多いのです。
そういう目に見えないけれども確かにそこに存在する「何か」を、主に聞き取り調査によるフィールドワーク、また古文書などで地域の成り立ちや歴史をたどることによって明らかにしようという試みが民俗学です。
日本の有名な民俗学者に柳田國男がいます。
1910年に発表された『遠野物語』は、岩手県遠野町(今は遠野市)に伝わる民間伝承や民話を聞き書きしまとめた説話集で、山の神を始め、河童(カッパ淵)、座敷童子(オシラサマもその1つか)、神隠しなど、妖怪や怪談、遠野の行事などが紹介されていて、民俗学の学究本というより物語のような体裁です。
しかしそもそもが口承で伝えられてきたものを忠実に記録し文章化するのが民俗学でもあるので、この本が日本民俗学の礎を築いたと言えます。要するに地域の言い伝えや風習がそれまでは文章という形にすらなっていなかったということでもあります。
柳田の弟子である折口信夫、柳田のように定住者ではなく漂泊の民に光を当てた宮本常一、網野善彦、妖怪論の著書が多い小松和彦、妖怪小説家(?)の京極夏彦など、現代でも民俗学の探究は続いています。


かつて日常生活は常に闇と隣り合わせでした。
夜になると明かりは蝋燭や松明だけしかなく、道路も発達していなかったので隣の村へ行くの大変でした。自分の住んでいる場所の外は容易に行くこともままならない、未知の異界でした。
そんな中で地域に根差した風習や物語が生まれ、見えない存在を妖怪として見えないなりに可視化しようとしてきました。
現在では夜も電灯が消えることはなく、少しでも暗がりをなくそうとあちこちに街灯や屋外照明が付けられています。
隣村どころかチベットの山奥にだって行くことができ、リアルタイムで地球の裏側で起こったニュースを見ることができます。
世界には見えないもの、知らないもの、枠から外れたものなど無いかのように錯覚してしまいます。
でも実際は知らないことだらけですよね。
だから僕らは本を読んだり、旅に出たり、いろんなものを見ようとするんだと思います。
今回の本・・・
柳田國男『遠野物語・山の人生』(岩波文庫 1976)
水木しげる『日本妖怪大全』(講談社α文庫 1994)
京極夏彦『今昔続百鬼 雲』(講談社ノベルス 2001)・・・出羽の即身仏の話があります
『劇的紀行 深夜特急』(ソニー・ミュージックディストリビューション 2002)・・・大沢たかお主演のDVDですが、バックパッカーが見ると無性に旅に出たくなります。

/* ----- 福井 - 日本 - 2010 - Nikon D700 ----- */
♪ Folklore / クラムボン
by kidai_y
| 2011-11-02 23:36
| 写真:日本

