2012年 03月 23日
PHOTO REPORT ~ かまくらっこ ~ 横手・秋田 |

2012-02-16_19:26
「あがったんせ~」
かまくらの中は意外と暖かく、居心地が良かった。
甘酒や切餅などを子供たちが勧めてくれる。
近くの小学校に通う4年生の2人。
教室に「かまくら守り募集」の案内プリントが配られ応募したのだそうだ。
お家ではさすがにこんなに立派なかまくらは作らないそうだが、小さなかまくらは作るらしい。
そういえば僕も子供の頃、屋根の雪下ろしをした後に積み上がった雪に穴を開けてかまくらごっこをしたのを思い出した。
結構この役目は人気があるの?と聞くと、クラスでは私たち2人だけだったと教えてくれた
かまくらの本場なのに、そんなものなのかと思った。
ましてや子供の行事なのに・・・。
なまはげも子供が少なくなってきて行事の存続が危ぶまれている地域もあるらしい。
横手もかまくらもいずれはなまはげみたいに、外から子供を募集しなくてはならなくなるのだろうか。

羽黒町武家屋敷通りのかまくら




かまくら交番前
/* ----- 横手 - 秋田 - 2012 - Nikon D700 ----- */
◎秋田冬の祭り◎
平成24(2012)年横手かまくらまつり・・・
「かまくらの声」
「かまくらまつり 2012」
「かまくらっこ」
平成24(2012)年なまはげ柴灯まつり・・他の記事は、
「なまはげ問答」
「なまコレ2012 1」
「なまコレ2012 2」
「なまはげ柴灯まつり2012」
「なまはげ誕生秘話(参考)」
手袋をしていても指先が鈍く痛む。
氷点下の空から降りてくる細かな雪片が、歩いている人や、湯気の出ている屋台のテントや、腰の高さまで積もった地上の残雪を覆っていく。
耳を澄ますと、次々に降り積もっていく雪のサラサラという音が聞こえてくる。
町のあちこちにロウソクの灯った小さな雪洞が並んでいる。
かじかむ手を揺らめくオレンジの明かりにかざしてみると、薄い手袋の生地越しにほんのりと温もりが伝わってくるような気がした。
屋台や大きなかまくらで賑わう町の中心部を後に、道沿いに点々と灯る小さな光に誘われるように歩いた。
ポツリポツリと街灯が立っている。
雪雲に覆われた空は地上からの光の反射で奇妙な陰影を見せていた。
相変わらず雪は降り続き、手も足もかじかみ、鼻や顎まで冷たく冷えていた。
いくつか角を曲がり、山と木造の家々に挟まれた小さな路地に入った。
暗い路地の奥に、暖かな光が見える。
大きなかまくらが路地の脇にあった。
ゆらゆらと動く篝火に照らされ、丸くのっぺりとしたかまくらのシルエットが闇に浮かびあがっていた。
丸く小さな入口からは温かそうな光がこぼれ出ていた。
中にはゴザが敷かれ、真中に置かれた火鉢の上には切り餅が膨らんでいる。
その脇の小さな鍋では甘酒が温められているのだろう。
「入ったんせ」
中から声がする。
赤いどてらを着た女の子が手招きをしていた。
「甘酒で温まってください」
身をかがめて雪家の入り口を潜ると、天井は思ったよりも高かった。
広さは半畳くらいだろうか。
ゴザの上の座布団に腰を降ろし、手袋を脱いで火鉢に手をかざす。
もどかしいくらいゆっくりと炭火の熱が伝わってきて、なんだか指先がかゆくなってくる。
かまくらの中は驚くほど暖かかった。
雪を削って作られた祭壇には、水神様と書かれたお札が置かれていた。
「甘酒です」
渡された甘酒は少々薄めで、程よく温められていた。
女の子は近くの小学校に通っているという。
この路地は人通りも少なくあまりお客も来ないそうで、久しぶりにかまくらに入ってきた僕をとても喜んでくれた。
次々に焼いた餅や甘酒、クルミ餅などを勧めてくる。
外を見るとどうやら吹雪きはじめたようだったが不思議とかまくらの中に風も雪も吹きこんでこなかった。
本当に長い間待ったのよ、と言いながら女の子がすっと立ち上がった。
「甘酒がなくなったので家でもらってくる」
そう言って女の子は藁で編んだ長靴を履き、これも藁で作った防火頭巾のような蓑を被ってすいっとかまくらの外へ出た。
ここに1人で残されても困るので一緒に出ようと慌てて上着を着て靴を履こうとしていたら、女の子は吹きつける雪の中に立ってこちら振り返り、
「このかまくらはね、1人しか入れないの」と言った。
「え?何?」と戸惑っていると、
「大丈夫、甘酒もお餅もなくならないよ。でもね、ここは本当に人が来ないのよ」
そう言って女の子はくるりと踵を返し、雪が降り荒ぶ闇の中へ歩き去って行った。
出られなかった。
かまくらの穴は弾力のある透明な何かで塞がれていた。
一見何もないように見えるのに少しの隙間も無くびっちりと閉まっていた。
「このかまくらは1人しか入れないの」という女の子の言葉が繰り返し頭の中に響いていた。
どうすることもできず、壁にもたれかかった。
雪の壁のはずなのに冷たさは感じなかった。
相変わらず外は吹雪いてるようだった。
by kidai_y
| 2012-03-23 20:49
| 写真:日本

