2012年 03月 26日
PHOTO REPORT ~ 郷土富士のいわきさん ~ 津軽・青森 |

2012-1-20_14:56
----- 「や! 富士。いいなあ。」と私は叫んだ。富士ではなかつた。津軽富士と呼ばれてゐる一千六百二十
五メートルの岩木山が、満目の水田の尽きるところに、ふはりと浮んでゐる。実際、軽く浮んでゐる感じなので
ある。したたるほど真蒼で、富士山よりもつと女らしく、十二単衣の裾を、銀杏いてふの葉をさかさに立てたや
うにぱらりとひらいて左右の均斉も正しく、静かに青空に浮んでゐる。決して高い山ではないが、けれども、な
かなか、透きとほるくらゐに嬋娟たる美女ではある。-----(太宰治『津軽』より)
郷土富士。
日本にはそこかしこに富士山があります。
本家富士山と同じような成層火山の独立峰もあれば、形が似ている小高く盛り上がった地形というものもあります。
津軽平野の中にすらりと立つ「岩木山」もその1つ。
1625メートルの成層火山で、津軽富士と呼ばれています。
昔から津軽地方の象徴的な山であり信仰の対象ともなっています。
住んでいる町から見える山というのは普段はあまり気にならないかもしれませんが、思いのほか記憶に深く染み付いているものです。
別の町を歩いていて、平野ばかりで山が見えないために落ち着かない気分になったり、山の形や雰囲気が似ているから別の町なのに懐かしさを覚えたり、遠くの見慣れたシルエットを見て田舎に帰った気分が増したり。
だから各地に自分たちの象徴となる山を見つけ、多くの郷土富士が生まれたのではないでしょうか。(観光目的の場合もありますけどね)
起伏に富んだ狭い土地であるために、どこを切り取っても個性的な風景が見られる日本だからこその感覚なのでしょうね。
----- 私はこの旅行で、さまざまの方面からこの津軽富士を眺めたが、弘前から見るといかにも重くどつしり
して、岩木山はやはり弘前のものかも知れないと思ふ一方、また津軽平野の金木、五所川原、木造あたりから眺
めた岩木山の端正で華奢な姿も忘れられなかつた。西海岸から見た山容は、まるで駄目である。崩れてしまつて、
もはや美人の面影は無い。岩木山の美しく見える土地には、米もよくみのり、美人も多いといふ伝説もあるさう
だが、米のはうはともかく、この北津軽地方は、こんなにお山が綺麗に見えながら、美人のはうは、どうも、心
細いやうに、私には見受けられたが、これは或いは私の観察の浅薄なせゐかも知れない。-----(太宰治『津
軽』より)
郷土富士についての参考サイト
「日本各地のご当地富士」(JAPAN WEB MAGAZINE)
「各地の富士山」(山梨の小学校のホームページ)

青森県藤崎町から見た岩木山

青森県五所川原市五所川原駅付近から見た岩木山

青森県北津軽郡中泊町津軽中里駅付近から見た岩木山

/* ----- 津軽 - 青森 - 2012 - Nikon D700 ----- */
平成24(2012)年津軽の冬編・・他の記事は、
「青白の世界」
「じゅうさんこのしじみ」
「道は竜飛へ」
「ほっかむりで」
「津軽のストーブ列車」
「津軽の笑顔」
「郷土富士のいわきさん」
by kidai_y
| 2012-03-26 20:17
| 写真・東日本大震災

