2007年 07月 05日
Piece.5 「海光」 / アジアのかけら 1998~2001 |

タオ島のダイビングショップで知り合った数人の日本人と一緒に、島で一番高い山に登った。せいぜい標高200mくらいなのだが、一気に上に上っていくので旅と海で疲れた足腰にこたえた。
東京でダンスを教えているという青年はどんどん先に進んでいく。
僕らは途中2、3度休憩しなくてはならなかった。
けもの道のような細い下生えの中の道を辿っていくと、頂上近くに大きな岩が崖のように張り出しているところに出た。そこからは西―北―東、270度くらいが見渡せた。
午後4時。中天から西に3分の2程降りてきた太陽はまぶしく白く輝き、海面に白い光の筋を真っ直ぐ僕達の方へ向けていた。黒い点のように見える船が真っ平らに凪いでいる海面に何本も波の筋を描いていた。
太陽がその姿を海の向こうへすっかり隠してしまった後も、茜色に光る空と海からしばらくは眼を離すことができなかった。目の前に広がる大きなスクリーンは、朱色から赤紫色、そして青紫色へと静かに色を変えていった。

ふと誰かが後を向いたので僕もつられて振り返った。
東の青紫色の空に銀色に輝く満月が浮かんでいた。この場所からは昇る朝日と沈む夕陽の両方を見られるため、「Two View」という名前が付けられていたが、今夜はさしずめ「Three View」といったところだろうか。
あまりの景色に見とれていたおかげで、帰りは真っ暗な山道を小さなペンライトの光を頼りに下山しなくてはならない羽目になった。何度か足を取られて蹴躓きそうになった。
麓近く、客があまり来るとは思えない場所にあるバーの灯りが見えたときは、とても怪しい雰囲気の建物だったのだが、心底ホッとした。
( 2001 / Ko Tao / Thailand )
by kidai_y
| 2007-07-05 23:57
| 旅:文章

