2007年 08月 23日
旅文 01-05 「酩酊親爺」 |
旅のはじめにバンコクで買った偽Gショック、てっきり防水だろうと思ってつけたままシャワーを浴びたら液晶表示が消えてしまった。一昨日の夜のことだ。それが、今朝起きたら表示が復活していた。中に入った水分が乾いたのだろうか。旅行中に時計がないと何かと不便なのでホッとして近くの食堂で朝食を食べていたら、いつの間にか表示が消えてた。まったく、使えないものを買ってしまった。
気を取り直し、かわいらしい女の子が店番をしていた店で自転車をレンタルした。海沿いの道をのんびりと気分良く走ることができたのは最初の10数分だった。海岸、山、山、海岸、山、谷、山、海岸といった具合でやたらと坂道が多く、しかもえらく急な坂道ばかりだったのだ。日陰は寒いくらいなのに日差しそのものは強烈で、汗だくになりながら坂道を自転車を引いて歩いた。
自転車を借りたことを後悔し始めた頃、島の南にあるバンバオ・ビーチに着いた。
海に張り出した桟橋沿いに民家や商店、宿やレストランなどがほぼ水上に建てられていた。合間に漁船も停泊していて、船と港と村が一緒になったような場所だった。



自転車をレストランで預かってもらい歩いていると、干物屋の前で真昼間からビールを飲んでふわふわしているおじさんを発見した。手前にある古いモップかと思ったものは犬だった。店の反対側では太ったおばさんが、袋にいっぱい詰まった干しえびを皿の上に少し取って、混ざった小石やごみなどを取り除く作業を黙々としていた。
おじさんがどうにもいい雰囲気だったので、写真を撮らせてもらおうと挨拶すると、座れ、そして飲めと言いながらビールを勧められた。僕はアルコールはほとんど飲めないのだが、せっかくなので少しいただくことにした。
ゆでたカニをつまみに、ぬるくなったビアチャンをちびちび飲むおじさんは、呂律の回らない口で同じことを何回も言っているようだった。どこの国も酔っ払いは同じである。僕は持っていたタイ語の本で酔うという単語を探して、マオ!マオ!お前はマオだ!僕もコップ半分でマオだ!と言うと、おじさんはニヤニヤしてまたなにやら繰り返していた。
このおじさんは顔が広いらしく、道行く人がみな挨拶したり声を掛けたりしていた。おじさんも上機嫌でそれに答えて、今日は変な外国人がいるんだよとばかりに、僕を指さしたりしていた。いつの間にか冷えたビアチャンが1本増えていた。ほとんどおじさんが飲んでいたわけだが、僕も結構酔っ払ってしまった。


ごろりと横になりおじさんが夢の世界に入りそうになっていたので、僕も離れることにした。帰りの道は相変わらず心臓破りの坂道ばかりで、酔っ払っていたせいもあって本当に眩暈がしてきた。気分も悪くなってきたので、途中のサイアム・ビーチというところで1時間ばかり昼寝をすることにした。
目が覚めると驚くほどすっきりしていたので、気を取り直して出発。あといくつか山を越えれば宿のあるビーチに戻れる所まで来て、下り坂の途中でタイヤは曲がってないのにハンドルがやけに動くことに気が付いた。止って確かめてみると、ハンドルが緩んでいた。遠くに海を見ながら坂道を猛スピードで下り降りるのがこのサイクリングの醍醐味なのに、いつハンドルが曲がらないかと冷や冷やしながら残りの道のりを進んだ。
by kidai_y
| 2007-08-23 23:58

